猫の体重は、①抱っこして人間用体重計で測る、②キャリー・箱ごと測って容器の重さを引く、③ペット用体重計に直接乗せる、の3つの方法で測れます。
抱っこが好きな猫なら①、慣れたキャリーで落ち着ける猫なら②が候補です。細かな変化を記録したい場合は、猫の体格に合った③を検討しましょう。
大切なのは、猫が無理なく測れて、前回と比較できること。この記事では、各方法の手順と、嫌がる老猫への配慮、数値がばらつくときの確認点を解説します。
口を開けて呼吸する、明らかに息苦しそうにする場合は、体重測定を中止してすぐに動物病院へ連絡してください。体重を測ってから受診する必要はありません。
猫の体重の測り方は3通り

まずは、猫が落ち着いていられる方法から選びます。抱っこ・容器・直接乗せる方法はいずれも家庭での選択肢ですが、体重計の測定範囲や猫の動きによって使いやすさが変わります。
| 方法 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 抱っこして差し引く | 抱っこを嫌がらず、手持ちの人間用体重計を使いたい | 2回の測定値から求めるため、小さな差は読み取りにくい |
| キャリー・箱ごと測る | 慣れた容器の中なら落ち着ける | 容器を安定して置ける台の広さと測定範囲が必要 |
| ペット用体重計に乗せる | 自宅で継続して体重を記録したい | 台に慣れる時間が必要。表示の細かさだけで精度は決まらない |
抱っこして人間用体重計で測る
猫を抱いたまま安全に立てる場合に使える方法です。滑りにくい、硬く平らな床に体重計を置きます。
- 飼い主だけで体重計に乗り、表示が落ち着いた数値を記録します。
- 一度降りて、体重計が次の測定を始められる状態に戻ったことを確認します。
- 猫を抱っこして乗り、数値を記録します。
- 「飼い主+猫」から「飼い主だけ」の重さを引きます。
計算例:64.2kg − 60.0kg = 猫の体重4.2kg
※計算方法を示すための例です。
2回とも服装やポケットの中身をそろえ、続けて測りましょう。100g単位の表示から求めた体重を、10g単位まで正確に測れたものとして扱うことはできません。動いたり、体重計が数値を安定して表示しなかったりした場合も、結果を過信しないでください。
猫が暴れる、飼い主がふらつく場合は中止し、別の方法を選びます。
対応する体重計でキャリー・箱ごと測る
抱っこは苦手でも、普段使っているキャリーや丈夫な箱の中なら落ち着ける猫に向いています。
- 容器が安定して乗ることと、猫を含めた重さが体重計の測定範囲内であることを確認します。
- 猫を入れる前に、容器と敷物を一緒に測って重さを記録します。
- 猫に入ってもらい、「猫+容器+敷物」の重さを測ります。
- 先ほど記録した「容器+敷物」の重さを引きます。
計算例:5.4kg − 1.2kg = 猫の体重4.2kg
※計算方法を示すための例です。
風袋引き機能があれば、説明書に従って容器と敷物を乗せた状態でゼロ表示にしてから測れます。ただし、風袋引きをしても、体重計に乗せてよい総重量が増えるわけではありません。
容器が床や壁に触れる置き方は避けます。また、人間用体重計の中には、猫と容器だけでは測定を開始しない機種もあります。測れる最小の重さも確認してください。
キャリーの扉を閉める場合は、猫が落ち着いていることを確認します。嫌がる猫を無理に押し込めたり、箱のふたを閉めて閉じ込めたりしないでください。
ペット用体重計に直接乗せる
猫の全身を無理なく乗せられる、低く安定した体重計を床に置きます。説明書に従ってゼロ表示を確認し、猫が静止したときの数値を読み取ります。
滑りやすい場合は、薄い滑りにくい敷物を計量面に置き、その重さを風袋引きなどで差し引きます。敷物が床にはみ出して支えにならないようにしましょう。
測定中は、猫を押さえつけたり、手で体を持ち上げたりしません。表示を固定するホールド機能があっても、大きく動いている猫を常に正確に測れるとは限りません。
嫌がる・暴れる猫を無理なく測るコツ
置き場所と道具に慣れてもらう
測定する日だけ道具を出すより、まずは静かな場所で、電源を切った体重計やいつものキャリーを見たり、においを嗅いだりする時間をつくります。
自分から近づいたり乗ったりしたら、声をかけるなど、猫が好む方法で応じましょう。食べてよいフードを少量使う方法もあります。食事制限がある場合は、使えるフードを主治医に確認します。
短時間で終え、難しければ中断する
猫が落ち着いている時間帯を選びます。「今日は乗れたら終わり」でも構いません。追いかけて捕まえたり、何度も乗せ直したりして、体重測定が嫌な経験にならないようにしましょう。
数値が読めなくても、無理に長引かせる必要はありません。健康管理に必要な測定が自宅では難しいときは、動物病院で測る方法も相談できます。
抱っこが苦手な老猫は別の方法を選ぶ
以前は平気だった抱っこを嫌がる、体を触ると反応する、段差に乗りにくそうにする場合は、痛みが関係している可能性もあります。単に「わがままになった」と決めつけず、獣医師に伝えてください。
測定のために高い台へ持ち上げず、床に置いた低い体重計や、落ち着けるキャリーを利用します。
測るたびに数値が違うときの確認ポイント
硬く平らな床で測る
じゅうたんや柔らかいマットの上では、体重計が安定しないことがあります。設置場所は説明書に従い、四隅が安定して接地する場所を選びます。
猫の足が滑らないようにする敷物は計量面に置き、体重計の下に厚いクッションなどを重ねないようにしましょう。
容器・タオルの重さと周囲への接触を確認する
記録が前回と違うときは、次の点を確認します。
- 容器や敷物を替えていないか。敷物が濡れていないか。
- 風袋引きやゼロ表示を正しく設定したか。
- 猫の足、容器、敷物が床や壁に触れていないか。
- 手で猫や容器を支えたり、押したりしていないか。
- 猫が大きく動いていなかったか。
- 測定範囲を外れていないか。電池交換やエラーの表示はないか。
同じ体重計・近い条件で比較する
できるだけ同じ体重計で、似た時間帯・食事との前後関係で測ります。食事や排泄のタイミング、治療で行う補液なども数値に影響するため、いつもと条件が違う日はメモを残してください。
測定条件をそろえるために、食事や水を控えさせたり、必要な治療を遅らせたりする必要はありません。
明らかに不自然な値が出たら、猫が落ち着いている範囲で設置条件を見直し、再確認します。読み取れなかった回は、そのまま「動いて測定できず」と記録しましょう。
老猫の体重は測定頻度と記録をセットで考える
健康状態に応じて測定頻度を決める
成猫の日常的な健康管理では、月1回を目安とする案内があります。[1]ただし、老猫や治療中の猫にも、同じ間隔が適しているとは限りません。
健診や診察の際に、「自宅ではどのくらいの間隔で測るか」「どんな変化があれば連絡するか」を主治医と決めておくと安心です。例えば週1回と決めたら「毎週日曜日の朝」のように、続けやすい予定に組み込みます。
日々の細かな数値だけで判断せず、それまでの記録と体調を合わせて見ます。シニア猫のガイドラインでも、体重や体の状態の変化を継続して評価することが重視されています。
体重と一緒に食欲・飲水・活動の変化を記録する
メモ帳やスマートフォンに、次の項目を残しておきましょう。数値は体重計に表示された桁まで記録し、単位をkgまたはgにそろえます。
| 記録する項目 | 残しておきたい内容 |
|---|---|
| 日付・時刻 | いつ測ったか |
| 体重・測り方 | 表示された数値と単位、使用した体重計、抱っこ・容器などの方法 |
| 測定条件 | 食前・食後、排泄や補液との前後関係、いつもと違う点 |
| 食事・飲水・排泄 | 食べた量、飲み方や尿量の変化、吐いたかどうか |
| 動き・様子 | 歩き方、段差の上り下り、元気、測定を嫌がったか |
病院には記録をそのまま持参してください。体重が同じでも、筋肉が減っている場合があります。脂肪のつき方を見るBCS(ボディコンディションスコア)と、筋肉の状態を見るMCS(マッスルコンディションスコア)も、診察時に確認してもらいましょう。
体重が減った・体調が変わったときは受診を相談する
一律の「何g減ったら」だけで判断しない
気にしたいのは、もともとの体格、変化した期間、食欲や活動の様子です。例えば100gは、4kgの猫では体重の2.5%に当たりますが、この割合だけで病気の有無や緊急性は決まりません。
測定条件を見直しても以前より明らかに軽い、少しずつ減っている、食べているのに痩せてきた場合は、動物病院へ相談してください。次の定期測定まで待ったり、「年齢のせい」で済ませたりしないことが大切です。
体重が意図せず増えている場合も、記録を主治医に見てもらいましょう。
食欲があるのに体重が減る場合の原因や受診の目安は、老猫が食べているのに痩せる原因と受診の目安で詳しく解説しています。

体調不良があれば記録がそろうのを待たない
食事をほとんど取れない、食べない状態が続く場合は、体重の変化が小さくても早めの相談が必要です。猫では食べない状態そのものが健康に悪影響を及ぼすため、その日のうちに動物病院へ連絡し、受診のタイミングを確認してください。
繰り返し吐く、急に元気がなくなる、飲水や尿の様子が変わるといった変化も伝えます。呼吸が苦しそうなときは、測定や記録を続けず、すぐに受診につなげましょう。
猫用体重計は必要?購入前に確認したいこと
手持ちの体重計で測れる場合
抱っこなどで無理なく測れて、必要な記録が取れるなら、最初から専用品を購入する必要はありません。使っている機種の表示単位や測り方を主治医に伝え、健康管理の目的に合っているか確認しましょう。
細かな変化を追いたい場合
人間用体重計では数値がばらつく、抱っこを嫌がる、主治医からより細かな記録を求められた場合は、猫の体格に合うペット用体重計が候補になります。
購入前には、次の点を確認してください。
- 最小表示と精度:何g刻みで表示するかと、測定誤差の説明は別に確認する。
- 測定範囲:猫だけでなく、使用する容器や敷物を含む重さも測れるか。
- 乗せやすさ:猫が安定して座れる広さがあり、段差が高すぎないか。
- 機能:風袋引きや表示固定を、予定している測り方で使えるか。
- 清掃・保管:汚れを拭き取りやすく、継続して使える置き場所があるか。
「細かく表示する」と「正確に測れる」を区別する
例えば「5g単位」と書かれている製品でも、必ず誤差5g以内で測れるという意味ではありません。また、同じ値が繰り返し出ても、真の重さとの差が小さいとは限りません。
仕様や説明書で精度の条件を確認し、猫が落ち着いて乗れるかも含めて選びましょう。重さの小さな違いだけで、フードや治療内容を自己判断で変更しないでください。
猫の体重測定についてよくある質問
動物病院と自宅で数値が違うときは?
体重計の仕様や測り方、時刻、食事・排泄などの条件が違うと、数値が一致しないことがあります。自宅と病院の記録は測定場所も添えて残し、自宅では同じ条件の記録同士を比べましょう。
差が大きい、変化が続く場合は、測定方法と記録を主治医に見てもらってください。毎回一定の数値を足したり引いたりして、自己判断で補正することは避けます。
人間用体組成計で猫の体脂肪も測れる?
人間用の体脂肪率や筋肉量の表示を、猫の評価には使わないでください。飼い主が猫を抱いて乗ったときの体組成表示も、猫自身の体脂肪率を示しているわけではありません。
抱っこして測る場合は、説明書に従い、利用できる機種では体重だけを測るモードを使います。猫の脂肪と筋肉の状態は、BCS・MCSなどを用いて獣医師に確認してもらいましょう。
まとめ|無理なく測れる方法で変化を記録しよう
猫の体重は、抱っこ、キャリー・箱、ペット用体重計の中から、その猫が落ち着ける方法で測りましょう。硬く平らな床を使い、容器や敷物の重さを差し引き、できるだけ同じ条件で記録します。
老猫では、体重だけでなく食欲・飲水・動きの変化も大切です。気になる変化は記録と一緒に動物病院へ伝え、体調が悪いときは測定より受診を優先してください。
体重管理に加えて暮らし全体を整えたい方は、老猫介護の基本と毎日のケアも参考にしてください。

参考資料
- 日本ヒルズ・コルゲート「猫におすすめの体重計と体重の測り方」(2024年11月25日)。家庭での測定方法・一般的な測定頻度の参考。
https://www.hills.co.jp/cat-care/healthcare/how-to-weigh-your-cat-at-home - Ray M, et al. 2021 AAFP Feline Senior Care Guidelines. Journal of Feline Medicine and Surgery. 2021;23:613–638. 体重・BCS・MCSと経時的変化の評価。
https://journals.sagepub.com/doi/pdf/10.1177/1098612X211021538 - Feline Veterinary Medical Association. Senior Cats Have Special Needs. ©2024. 家庭での体重確認、痛みや体調変化の相談。
https://catvets.com/wp-content/uploads/2024/12/FelineVMA_Sr.-Care-Guideline_BW.2.pdf - World Small Animal Veterinary Association(WSAVA). Global Nutrition Guidelines / Nutritional Assessment Tools. BCSとMCSによる評価。
https://wsava.org/global-guidelines/global-nutrition-guidelines/ - Cornell Feline Health Center. Anorexia. 食べない猫の診察の必要性。
https://www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/cornell-feline-health-center/health-information/feline-health-topics/anorexia - Cornell Feline Health Center. Dyspnea (Difficulty Breathing). 呼吸困難時の緊急受診。
https://www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/cornell-feline-health-center/health-information/feline-health-topics/dyspnea-difficulty-breathing
参考資料確認日:2026年10月22日。この記事は一般的な情報提供を目的とし、個別の診断や治療の指示に代わるものではありません。

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