【獣医師が選ぶ】老猫におすすめの低いトイレ5選|シニア猫の段差対策と選び方

最近、愛猫がトイレの前で一瞬立ち止まる。

縁をまたぐときに後ろ足が引っかかる。

以前はなかったのに、トイレのすぐ横でおしっこやウンチをしてしまう――。

高齢の猫にこうした変化が出てきたら、単なる「失敗」ではなく、今まで使えていたトイレが身体に合わなくなってきたサインかもしれません。

こんにちは。獣医師のとく先生です。

老猫では筋力低下や関節の痛みなどによって、ほんの数cmの段差でも負担になることがあります。

実際、猫の慢性疼痛ケアに関するFelineVMA(Feline Veterinary Medical Association)の資料でも、身体機能が低下した猫には「壁が低い・入口が低いトイレ」を利用しやすい場所に設置することが勧められています。

そこでこの記事では、老猫が入りやすい「低いトイレ」の選び方と、実際に購入できるおすすめ5商品を獣医師の視点から紹介します。

なお、急にトイレを失敗するようになった場合は、トイレだけを交換して終わりにしないことも大切です。

排尿や排便の変化には、泌尿器疾患、便秘、痛みなどの身体的な問題が隠れていることがあります。

目次

結論|老猫用トイレは「低さ+広さ」で選ぶ

先に結論です。

老猫用トイレを選ぶとき、私が特に重視したいのは次の4点です。

  • 出入口を高くまたがなくてよい
  • 中で方向転換できる十分な広さがある
  • 猫の様子を確認しやすい
  • 毎日掃除しやすい

「低ければ低いほどよい」とは限りません。

入口を極端に低くすれば、今度は猫砂や尿が外へ出やすくなります。

そのため、入口だけは低く、ほかの壁にはある程度高さがある形が、老猫には使いやすいケースがあります。

今回選んだ5商品はこちらです。

商品入口・低い部分特徴こんな猫に
OFT HY Senior約8.7cm大型・入口だけ低い総合おすすめ
Buddy Cloud Easy Entry約7.5cmローエントリー段差が特に苦手
OFT Kitty and Puppy Pan S約8cm全体が浅い小柄な猫・かなり足腰が弱い猫
LION 獣医師開発 ニオイをとる砂専用 猫トイレ低い入口広さと価格のバランス初めて交換する家庭
アイリスオーヤマ PNE-480低い部分 約10cmシンプル・低価格サブトイレにも

※サイズや仕様は執筆時点のメーカー・販売ページを確認しています。商品仕様は変更される場合があります。

老猫のトイレはなぜ「低い入口」が重要なのか

若いころなら、10cmや15cm程度の縁をまたぐことなど何でもなかった猫でも、年齢とともに身体の動かし方は変わってきます。

特に、

  • 後ろ足の筋力が落ちた
  • 関節を大きく曲げにくい
  • 足元がふらつく
  • 視力が低下している
  • 排泄姿勢を長時間保ちにくい

といった猫では、トイレへ「入る」という動作そのものが負担になることがあります。

International Cat Careも、関節炎や移動能力が低下した猫には、少なくとも一辺が低いトイレを用意することを勧めています。

だからこそ、

「今まで使っていたから、このトイレで大丈夫」

ではなく、

今の身体で使いやすいか?

という視点で見直してあげることが大切です。

老猫向けの低いトイレおすすめ5選

1.OFT HY Senior|迷ったらこれ。低い入口と広さを両立

私が今回もっとも老猫向けとして選びやすいと感じたのが、OFTのHY Seniorです。

本体サイズは約59.5×57.5×23cmとかなり大きく、入口の地面からの高さは約8.7cm。

一般的な大型トイレは、身体が大きいぶん壁も高くなりがちですが、HY Seniorは広さを確保しながら入口だけを低くしたローエントリー設計になっています。

老猫では、入口が低いだけでなく、中で無理なく方向転換できることも重要です。

FelineVMAの飼い主向け資料でも、トイレは猫の身体に対して十分な大きさを確保することが勧められています。

メリット

  • 入口約8.7cm
  • トイレ内部が広い
  • 入口以外は壁が高く、砂の飛び散りを抑えやすい
  • 大柄な猫にも使いやすい

注意点

  • 約60cm四方なので設置スペースが必要
  • コンパクトなトイレより価格は高め

「老猫だから小さくて浅いトイレ」と考えるより、低くて、広いという条件を優先したい猫に向いています。

2.Buddy Cloud Easy Entry|入口7.5cm。段差をできるだけ小さくしたい猫に

入口の段差をさらに抑えたい場合の候補が、Buddy Cloud Easy Entryです。

入口高さは約7.5cm。

メーカー・販売ページでもシニア猫や子猫を想定したローエントリー型として販売されており、Amazonと楽天市場の双方で販売を確認できます。

トイレの前まで行くものの、

「前足は入れるけれど、後ろ足を持ち上げるのをためらう」

といった猫では、こうした入口の低さが選択肢になります。

メリット

  • 入口約7.5cm
  • オープンタイプで出入りしやすい
  • シニア猫を想定した設計
  • 一体型で洗いやすい

注意点

  • 低い入口から猫砂が出る可能性がある
  • 猫によっては周囲に砂取りマットが必要

入口の低さを優先したい猫には有力な選択肢です。

3.OFT Kitty and Puppy Pan S|全体が浅く、足を高く上げにくい猫に

さらにシンプルなロータイプが、OFT Kitty and Puppy Pan Sです。

サイズは約49.5×37×12.5cm、入口は約8cm。

もともと子猫やシニア猫などを想定した、全体的に浅いオープントイレです。

壁全体が比較的低いため、入口の位置を厳密に狙わなくても出入りしやすい点が特徴です。

メリット

  • 入口約8cm
  • 全体的に浅い
  • 約600gと軽い
  • 一体成形で洗いやすい

注意点

  • 深型トイレより猫砂が飛び散りやすい
  • 大柄な猫にはSサイズが狭い場合がある

足腰がかなり弱ってきた猫や、小柄な老猫のサブトイレとしても使いやすいでしょう。

4.LION 獣医師開発 ニオイをとる砂専用 猫トイレ|広さを重視するなら

「専用品は少し高いので、まず市販品から試したい」

という場合に候補になるのが、LION 獣医師開発 ニオイをとる砂専用 猫トイレです。

メーカーは、猫の平均体長をもとに身体の約1.5倍を想定したゆったりしたサイズと、子猫からシニア猫まで入りやすい低い入口を特徴として挙げています。

本体サイズは約58×38×20cmです。

特に評価したいのは、単純に「小さく低くする」のではなく、猫がトイレの中で動ける広さにも配慮していることです。

メリット

  • 比較的大きく、中で動きやすい
  • 入口側が低い
  • オープンタイプ
  • Amazon・楽天などで入手しやすい
  • 専用の特殊な猫砂でなくても、基本構造がシンプル

注意点

  • HY Seniorなどの専用ローエントリー製品ほど入口は低くない
  • 足をほとんど上げられない猫には合わない場合がある

まだ歩行能力はあるけれど、「最近ちょっとトイレに入りにくそう」という段階で検討しやすい商品です。

5.アイリスオーヤマ 猫のトイレ480 PNE-480|低価格で試しやすい

手頃な価格帯で用意しやすいのが、アイリスオーヤマ PNE-480です。

サイズは約48×38×13cm。

本体の低い部分は約10cmで、シンプルなオープントイレです。

老猫専用品ではありませんが、

「現在のトイレが高すぎるので、まず低いものを試したい」

「寝室にもサブトイレを追加したい」

といった用途には使いやすいでしょう。

メリット

  • 比較的低価格
  • シンプルで洗いやすい
  • 本体が軽い
  • サブトイレとして追加しやすい

注意点

  • 老猫専用設計ではない
  • 大型猫にはやや小さく感じる可能性がある
  • 入口7~8cmクラスの商品より段差は高い

老猫では「トイレまで遠い」こと自体が負担になる場合があります。

そのため、高価なトイレを1台だけ置くより、こうしたシンプルなトイレを猫がよく過ごす場所の近くに追加するという使い方も有効です。

どれを選ぶ?迷ったらこの3パターン

足腰が弱ってきた老猫

OFT HY Senior

入口の低さと内部の広さのバランスがよく、今回の第一候補です。

とにかく段差を低くしたい

Buddy Cloud Easy Entry

7.5cmのローエントリーが特徴です。

まず安価に試したい・2台目を置きたい

アイリスオーヤマ PNE-480

サブトイレとして導入しやすい価格帯です。

「低いトイレ」に替えるだけでは不十分なこともある

ここは獣医師として、強くお伝えしておきたい部分です。

老猫が突然トイレを失敗するようになったとき、

「歳を取ったからトイレを低くしよう」

だけで終わらせないでください。

排泄の変化には、

  • 関節などの痛み
  • 膀胱や尿路のトラブル
  • 便秘
  • 腎臓病などによる尿量の変化
  • 認知機能の変化

など、さまざまな原因が関係する可能性があります。

FelineVMAのガイドラインでも、トイレ以外で排泄する問題では、環境だけでなく医学的な原因を評価することが重要とされています。

特に、

  • 何度もトイレに行くのに尿がほとんど出ない
  • 排尿時に痛そうに鳴く
  • 血尿がある
  • 急に元気・食欲が落ちた
  • 数日便が出ず苦しそう

といった変化があれば、トイレ用品を探すより先に動物病院へ相談してください。

トイレの置き場所も老猫仕様に変える

老猫ではトイレそのものだけでなく、そこまでの動線も重要です。

例えば、

寝床

フローリングを歩く

廊下を曲がる

段差を越える

トイレ

という環境では、排泄したくなってからトイレに到達するまでが長すぎることがあります。

FelineVMAでは、高齢猫について、猫がもっとも長く過ごす階にトイレを用意することや、移動しやすい場所に置くことを勧めています。

17歳、18歳と年齢を重ねてきたら、

「トイレは家に1か所」

という固定観念を捨てても構いません。

寝室やお気に入りの部屋の近くにサブトイレを置くことも、立派な介護です。

トイレの前が滑っていないかも確認する

もう一つ見落としやすいのが床です。

トイレへ入るために前足を持ち上げた瞬間、後ろ足がツルッと滑る。

これでは、せっかく入口を低くしても猫は使いにくく感じます。

トイレ周辺には、

  • 滑りにくいマット
  • タイルカーペット
  • 洗える薄手のマット

などを敷き、足元を安定させてあげる方法があります。

関連記事:老猫の粗相も怖くない。獣医師が『タイルカーペット』を最強のペットマットと呼ぶ理由【滑り止め×掃除の時短】 | 老猫QOL研究所

トイレを替えたのに使わないときは?

新しいトイレを買ったのに、愛猫がまったく使ってくれない。

猫では珍しいことではありません。

その場合、いきなり古いトイレを撤去するのではなく、

旧トイレと新トイレを並べて選べる期間を作る

方法がおすすめです。

猫砂も同時に変更すると、

「容器も違う、砂も違う、場所も違う」

と環境が一気に変化してしまいます。

まず容器だけ変更し、使い慣れた猫砂を入れて様子を見る方が受け入れやすい場合があります。

まとめ|「自分でトイレに行ける」をできるだけ長く支える

老猫の介護というと、食事や薬、通院に目が向きがちです。

でも私は、自分で歩いてトイレへ行き、自分で排泄できることも、老猫の大切なQOLの一部だと考えています。

昨日まで普通に使っていたトイレが、今日の身体には少し高い。

そんな変化は外から見ると小さくても、猫にとっては大きな問題かもしれません。

愛猫が、

  • トイレの前でためらう
  • 縁に足をぶつける
  • トイレのすぐ横で失敗する
  • 排泄後に出るのが大変そう

といった様子を見せるようになったら、一度トイレ環境を見直してみてください。

今回紹介した中で迷うのであれば、入口の低さと広さを両立したOFT HY Seniorが第一候補。

段差をより低くしたければBuddy Cloud Easy Entry、まず手頃なものから試したければPNE-480という選び方がしやすいでしょう。

そして忘れないでほしいのは、

トイレの失敗は「わがまま」や「抗議」とは限らない

ということです。

身体からの小さなSOSを拾いながら、「まだ自分でできる」を環境の側から支えてあげましょう。

関連記事:老猫のトイレ失敗は「抗議」じゃない。震える後ろ足に気付いていますか?獣医師が教える段差と砂のバリアフリー術 | 老猫QOL研究所

関連記事:【獣医師解説】老猫には階段とスロープどっち?選び方とおすすめ5選 | 老猫QOL研究所

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

40代の獣医師です。現在は企業で品質コンプライアンス(法令遵守)の責任者を務める傍ら、自宅で17歳になる愛猫(雌)の現役介護に奮闘しています。

「獣医学的な正論」だけでは解決できない、シニア猫との暮らしのリアル。専門知識を日々の生活にどう落とし込むか、そして飼い主としてどう心を守るか。

コンプラ担当らしい「論理性・誠実さ」と、飼い主としての「温かさ」を大切に、愛猫との時間が少しでも穏やかになる情報を発信しています。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次