【猫用階段】老猫にはスロープとどっちがいい?獣医師が教える「関節を守る」選び方とおすすめ3選

こんにちは、獣医師のとく先生です。

最近、愛猫がソファやベッドに乗る前に、一瞬『よいしょ』とためらうようになった

降りる時に『ドスン』と重そうな音を立てて着地している

もし10歳を超えた愛猫にこんな変化が見られたら、それは「年齢のせい」だけではなく、「関節の痛み」のサインかもしれません。

猫は痛みを隠す天才です。でも、毎日使う「高さ」が負担になっているとしたら……。

そんな時に役立つのが、今回ご紹介する「猫用階段(ペットステップ)」です。

この記事では、獣医師の視点から「老猫の足腰を守るための階段の選び方」や、よくある悩みである「スロープとどっちがいいの?」という疑問にお答えします。

たったひとつの道具で、愛猫がまた軽やかにあなたの隣へ甘えに来られるようになりますよ。


目次

なぜ老猫に「猫用階段」が必要なのか?

「キャットタワーには登らなくなったけど、ソファくらいならまだ大丈夫」と思っていませんか?

実は、老猫の体の中では、飼い主さんが気づくずっと前から変化が起きています。

多くの老猫が「関節炎」を隠している

驚かれるかもしれませんが、12歳以上の猫の約90%に「変形性関節症(関節炎)」の所見があるというデータがあります。

猫は野生の本能で、ギリギリまで痛みを隠します。「痛い」と鳴くことは稀で、代わりに「ジャンプを失敗する」「高い場所に登らなくなる」「動きがゆっくりになる」といった行動の変化でサインを出します。

実は「登る」よりも「降りる」が危険

階段の導入をおすすめする最大の理由は、「登るため」ではなく「降りる時の衝撃を減らすため」です。

高いところから飛び降りる際、着地の衝撃は前足(特に肩と肘)に集中します。若い頃は筋肉でカバーできていた衝撃も、筋力が落ちた老猫にとっては、関節を削るようなダメージになります。

猫用階段は、いわば「老猫の足腰を守る命綱」なのです。


「階段(ステップ)」vs「スロープ」どっちを選ぶべき?

「猫 階段」で検索すると、段差のある「ステップタイプ」と、坂道状の「スロープタイプ」が出てきます。「うちの子にはどっちがいいの?」と迷う飼い主さんのために、比較表を作りました。

特徴階段(ステップ)タイプスロープ(坂道)タイプ
形状人間の階段と同じなだらかな坂道
メリット・場所をとらない(省スペース)
・リズムよく登り降りできる
・商品数が多く安い
・段差そのものがないため、足を上げなくて済む
・足を引きずる子でも使える
デメリット・重度の関節痛だと段差がつらい・角度を緩やかにするには長い距離が必要(場所をとる)
・滑りやすいものが多い
こんな子に自力で歩ける一般的な老猫足を引きずっている子、ダックスフンドのような短足種

【結論】

まだ自力で歩けている猫ちゃんであれば、「階段(ステップ)タイプ」がおすすめです。

猫はもともと段差移動が得意な動物なので、階段の方が直感的に使いやすく、また省スペースで設置できるため、飼い主さんの生活動線も邪魔しません。


失敗しない猫用階段の選び方 3つのポイント

では、実際にどのような階段を選べばよいのでしょうか?

デザインだけで選ぶと、「ぐらついて怖いから使ってくれない」という失敗に終わります。以下の3点を必ずチェックしてください。

1. 段差の高さと奥行き

老猫にとって理想的な段差は10cm〜15cm程度です。これ以上高いと、登るのが億劫になります。

また、重要なのが「奥行き」です。猫の体は意外と長いので、奥行きが狭いと踏み外してしまいます。一段の奥行きが広めのものを選びましょう。

2. 素材(硬さと滑りにくさ)

もっとも推奨するのは「ウレタン素材(スポンジ)」です。

  • 適度な硬さ: 足が沈み込みすぎず、踏ん張りやすい。
  • 衝撃吸収: 関節への負担を減らす。
  • 静音: 着地音が響かない。

逆に、ツルツルした木製やプラスチック製は滑って危険です。柔らかすぎる綿(クッションのようなもの)も、足元が不安定になるので老猫には不向きです。

3. 安定性(ズレないか)

猫が飛び乗った瞬間に「ズルッ」と階段自体が動いてしまうと、猫は恐怖を感じて二度と使わなくなります。

裏面にしっかりした滑り止めがついているか、ある程度の重量があるものを選んでください。


獣医師おすすめの猫用階段・スロープ 3選

ここからは、機能性と安全性を重視して厳選した、おすすめのアイテムをご紹介します。

1. 【王道・初心者向け】ドッグステップ(猫兼用)

まずはこれを試してほしい、基本のステップです。「ドッグステップ」という名前ですが、猫にも最適です。

中身がウレタン素材でできているため、膝や腰への負担が少なく、万が一ぶつかっても痛くありません。カバーが外して洗えるタイプなら、吐き戻しがあっても安心です。

2. 【機能性・シニア特化】iDog Living iStep(アイドッグ リビング アイステップ)

「部屋のインテリアを崩したくない」「安っぽいのは嫌」という方にはこちら。

家具のようなファブリック素材でおしゃれですが、機能性は抜群。硬めのウレタンチップを使用しており、老猫の足元が沈み込みすぎず、しっかり踏ん張れます。

3. 【スロープ派へ】明和グラビア ペットスロープ

「どうしても段差を嫌がる」「足腰がかなり弱っている」という場合は、こちらのスロープタイプを。

14段階の角度調節ができるため、最初は低くして慣らし、徐々に角度をつけるといった調整が可能です。幅が広めに作られているので、ふらつきがある子でも安心です。


せっかく買ったのに使ってくれない時の対処法

「良かれと思って買ったのに、猫が無視して飛び越えていく……」

これは”猫あるある”ですが、諦めるのはまだ早いです。

  • 無理に乗せない: 抱っこして無理やり乗せると「怖い場所」と認識されます。
  • おやつで誘導(シェイピング法): 階段の低い段におやつを置き、食べたら次は高い段へ……と、自発的に登るように誘導します。
  • 置き場所の確認: 階段が不安定ではありませんか? 壁に寄せて設置するなどして、揺れをなくしてみてください。

それでも登らなくなったら?

もし、階段を使ってもソファやベッドに登りたがらない場合は、無理に高い場所へ誘導する必要はありません。

それは「床で過ごしたい」というサインかも。その場合は、生活スペース自体を低くする「床生活(ロースタイル)」への切り替え時です。

これについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。


まとめ

猫用階段(ステップ)は、単なる家具ではなく、老猫の関節を守る「予防医療」のひとつです。

  • 老猫の多くは関節炎予備軍。
  • 「降りる」衝撃を減らすために階段が必要。
  • 自力で歩けるなら「スロープ」より「階段タイプ」がおすすめ。
  • 素材は滑りにくい「ウレタン」を選ぶこと。

愛猫がいつまでもあなたの隣で安心して眠れるように、ぜひ「優しい段差」をプレゼントしてあげてくださいね。

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この記事を書いた人

40代の獣医師です。現在は企業で品質コンプライアンス(法令遵守)の責任者を務める傍ら、自宅で17歳になる愛猫(雌)の現役介護に奮闘しています。

「獣医学的な正論」だけでは解決できない、シニア猫との暮らしのリアル。専門知識を日々の生活にどう落とし込むか、そして飼い主としてどう心を守るか。

コンプラ担当らしい「論理性・誠実さ」と、飼い主としての「温かさ」を大切に、愛猫との時間が少しでも穏やかになる情報を発信しています。

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