こんにちは、獣医師の「とく先生」です。
私は現在、企業で品質コンプライアンス（法令遵守や品質保証）の仕事をしながら、自宅では17歳になる愛猫の介護に日々向き合っています。
17歳。人間でいえば80代半ば。足腰が弱まり、夜中に鳴き声を上げ、食事の好みが分単位で変わる……。そんな毎日に、ふと「いつまで続くのだろう」「自分のやり方は合っているのか」と不安を感じることもあるでしょう。
しかし、私はあえてこう定義したい。 「老猫介護は、苦行ではない。猫との絆を深め直す、人生第2の黄金期である」と。
この記事は、情報の海で迷子になっている飼い主さんのための「地図（ロードマップ）」です。私がプロの知見と飼い主としての経験を凝縮した、QOL（生活の質）向上のための3つの柱を整理しました。
老猫のQOLを最大化する「3つの柱」
介護において最も大切なのは、飼い主さんが「頑張りすぎて倒れないこと」です。そのためには、論理的な整理が必要です。まずは、この3つの柱を軸に今の生活を見直してみましょう。
第1の柱：食事管理
～腎臓ケアと「食べる喜び」を両立させる～
シニア猫の多くが直面するのが「腎機能の低下」と「食欲不振」です。 「療法食を食べさせなきゃいけない」という義務感と、「好きなものを食べさせてあげたい」という願い。この板挟みに合う方は多いですが、私は「食べないことが最大のリスク」だと考えます。
- ポイント： 数値を追うだけでなく、香り、温度、食感（テクスチャ）を愛猫の好みに合わせてカスタマイズする技術。
- とく先生の視点： 栄養学というエビデンスを土台に、嗜好性という「遊び」をどう組み込むかが腕の見せ所です。
(ここにリッチカラム/ブログカード挿入：ハブ記事1「老猫の食事管理術」へ)
第2の柱：生活環境
～バリアフリーで猫の「自尊心」を守る～
猫はとてもプライドの高い生き物です。「今までできていたことができなくなる」のは、彼らにとっても大きなストレス。 家の中を劇的に変える必要はありません。ほんの数センチの段差を解消し、トイレまでの動線を最適化するだけで、愛猫の表情は見違えるほど穏やかになります。
- ポイント： 滑らない床、低めのトイレ、そして「お気に入りの場所」へのアクセス。
- とく先生の視点： 環境整備は、猫への「最高のプレゼント」です。動けなくなるのを待つのではなく、動けるうちに整えるのがコンプラ的リスク管理です。
第3の柱：睡眠と夜鳴き
～共倒れを防ぐためのリスクマネジメント～
介護において、飼い主さんのメンタルを最も削るのが「夜鳴き」と「睡眠不足」です。 これを「愛情が足りないから」と精神論で片付けてはいけません。夜鳴きには医学的な理由（甲状腺、認知症、痛みなど）が必ずあります。
- ポイント： 昼夜逆転を防ぐルーティン作りと、サプリメントや薬の適切な活用。
- とく先生の視点： 「限界まで耐える」のは美徳ではありません。飼い主さんの笑顔が消えることが、猫にとって最大の不幸。科学の力を借りて、睡眠を守りましょう。
コンプラ担当の視点：正しい情報の見極め方
現代は情報が溢れています。SNSで流れてくる「これを食べれば治る」「奇跡の療法」といった言葉に、心が揺れることもあるでしょう。
品質コンプライアンスを職務とする私からお伝えしたいのは、「エビデンス（科学的根拠）をベースにしつつ、目の前の個性にアジャストする」という姿勢です。
- 一次ソースを確認する： 誰が発信しているか？ 専門性は？
- メリット・デメリットを比較する： どんな処置にも必ず両面があります。
- 「うちの子」が正解： 教科書通りにいかなくても、愛猫がリラックスしていれば、それがその子にとっての正解です。
とく先生の想い：あなたは一人ではない
17歳の愛猫が、私の指を弱々しく舐めてくれるとき。 私は「獣医師」としての鎧を脱ぎ、ただの一人の飼い主として救われた気持ちになります。
介護は、愛猫が私たちに「命の尊さ」を教えてくれる最期の授業です。 不安になったときは、このブログに戻ってきてください。ここは、迷える飼い主さんのための「老猫介護研究所」です。
私の知識も、失敗談も、すべてここに置いておきます。 あなたは一人ではありません。私と一緒に、このかけがえのない時間を、最高に豊かな「黄金期」に変えていきましょう。
今日から一歩踏み出すために まずは、今夜の愛猫の様子をよく観察してみてください。 「いつもより少し長く寝ているな」「このお皿だと食べやすそうだな」。 そんな小さな気づきこそが、最高の介護の始まりです。
次に読んでほしい記事
まずは、毎日のケアで最も悩みの多い「食事」について詳しく見ていきましょう。
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